ケアプランのデータ連携を試してみたいけれど、費用がかかるので二の足を踏んでいた介護事業所の方は多いのではないでしょうか。
今年6月からケアプランデータ連携システムが無料で使えるキャンペーンがスタートします。
本記事では申し込み方法や概要などを詳しく解説します
この記事は3月14日の厚生労働省のウェビナーの説明資料を参考にまとめたものです。
ケアプランデータ連携システムのフリーパスキャンペーン
ケアプランデータ連携システムの全ての機能を1年間無料でご利用いただける期間限定のキャンペーンが始まります。
キャンペーンの期間は、2025年6月1日~2026年5月31日です。無料になったからと言って機能制限はなく、全ての機能が使えます。
キャンペーン対象及び期間
キャンペーンの対象は、これまでケアプランデータ連携システムを始めていない事業所の方だけでなく、現在ご利用中の事業所、以前ケアプランデータ連携システムを導入したが利用を止めてしまった方など、すべての事業所が対象となります。
上記キャンペーン期間内にケアプランデータ連携システムを更新した事業所は、その更新した日から起算して1年間の利用料が無料になります。

ケアプランデータ連携システム チラシより抜粋
これはキャンペーン期間限定の料金なので、キャンペーン期間終了後は、利用料金が元に戻り年間2万1000円がかかります。
申込方法
6月1日以降、こちらのリンクからいつでも申込みができます。
ただし申し込んだらすぐに使えるというわけではなく、事前準備が必要です。
申し込みの前に必要な準備
大まかに分けると、準備は5段階になります。
1)介護ソフトを確認する
ケアプラン連携システムと接続の準備をする前に、まず自社で使っている介護ソフトがケアプラン連携システムに対応しているかを確認しましょう。
ケアプラン連携システムに対応している介護ソフトでないと、連携に対応したデータを出力してくれません。
2025年3月段階で国保連のホームページで掲載があった介護ソフトのメーカーの対応状況はこちらの資料をご覧ください。最新の対応状況については、今ご利用中の介護ソフトメーカーにお問い合わせください。
2)連携用のパソコンを決める
自社で使っている介護ソフトがケアプラン連携システムに対応していたら、次は、連携用のパソコンを1台決めます。
ケアプラン連携システムのクライアントソフトをインストールしたり、証明書をインストールできるパソコンは1台に限られます。まず連携用のパソコンを準備し、そのパソコンをインターネットにつなげる必要があります。
パソコンの仕様は以下のとおりです。
OS | Windows10 またはWindows11※最新のプログラム状態を推奨します(WindowsUpdateを確認し必要に応じて実行ください) |
カレンダー表示 | 西暦設定(和暦設定での使用はできないため西暦設定に変更してください |
ブラウザ | MicrosoftEdge(chromium版)、GoogleChrome |
3)電子請求用のIDを確認する
申請時には、電子請求受付システムで使用されているKJから始まる14桁のユーザIDおよびパスワードを確認します。
そもそも電子請求を行っていない、請求業務を代理の方に委託していてユーザーIDとパスワードを持っていない場合は、担当の国民健康保険団体連合会に問い合わせてIDとパスワードを再発行してもらう必要があります。
再発行には約2週間程度かかります。ユーザーIDとパスワードがわからない場合は、早めの準備が必要です。
4)クライアントソフトのダウンロード
インターネットに接続した連携用のパソコンに、クライアントソフトをダウンロードしてインストールします。
クライアントソフトは、こちらのホームページから組織名称と介護保険事業所番号を入力してダウンロードします。
5)電子証明書のインストール
連携用のパソコンに電子証明書をインストールします。ケアプラン連携システムに利用できる認証証明書は『介護保険証明書』または『請求委任事業所用ケアプラン証明書』のみです。

ケアプラン連携システム システム導入のスタートガイドより抜粋
インストールされていない場合は、『介護保険証明書』または『請求委任事業所用ケアプラン証明書』のいずれかをインストールする必要があります。
介護保険証明書のインストールのマニュアルはこちら
請求委任事業所用ケアプラン証明書の申請およびインストールはこちら
ここまで準備ができたら、利用申請のサイトにアクセスし、IDパスワードでログインし、必要事項をオンラインで入力し利用申請の手続きを開始することができます。
厚労省からの参考資料やヘルプデスク
フリーパスのキャンペーン特別サイトが立ち上がっています。
こちらのページにシステム導入のスタートガイドなどが掲載されています。
不明な場合は、電話でのサポートもあります。
ケアプランデータ連携システムヘルプデスクサポートサイト
TEL0120-584-708 受付時間9:00~17:00(土日祝日除く)
メール問い合わせ
お問い合わせ|ケアプランデータ連携システムーヘルプデスクサポートサイト
ケアプランデータ連携システムの効果
ここまで苦労して、果たしてケアプラン連携システムの効果はあるのでしょうか?
導入効果はかなり期待できます。

公益社団法人国民健康保険中央会「ケアプランデータ連携システムについて令和4年10月Ver.2」より抜粋
令和2年度に厚生労働省が三菱総合研究所に委託して行った調査研究では、人件費を考えず、ファックスによるやり取り、交通費や通信費などの削減で、月6000円程の節約効果があると期待されています。
さらにデータ連携によって、データの突合せや手入力の人件費削減効果を見ると、月間およそ6万8000円の節減効果があると期待されています。
導入後の効果検証
経営面からのメリット
導入後に厚生労働省が行った集計からも、ケアプランデータ連携による効果は非常に大きいと思われます。
特にサービス利用表の手入力がなくなることによって、誤入力が大幅に削減され、返戻件数が圧倒的に減少することが報告されています。これは介護事業所の経営安定に大きく役立ちます。
ウェビナーで登壇した横浜の株式会社トライドマネジメントからは、より具体的な事例が報告されました。こちらの事業所では、ケアプラン連携システムの導入効果をかなり細かく数字で把握されています。
紙の量が減少、郵送代を減らせるという物理的なメリットのみならず、月末月初の稼働量が大きく減ったことによって、必要なケアの時間を増やすことができ、1人当たりの担当件数を増やすことができたということが報告されました。
特に要介護の担当を増やすことができたおかげで、平均訪問数が増え、平均年収もアップしたという報告もされています。

【株式会社トライドマネジメント】利用者の立場から考えるケアプランデータ連携システムへの期待 より抜粋
介護現場でのメリット
長崎県では関係団体に委託して、ケアプランデータ連携を行うモデルグループを作り、課題や効果を検証しながら、県全体へ波及させていくというアプローチを取っています。
モデルグループに参加した現場からの声では、
「紙の使用量が従来の1/5になった」「各事業所との連携調整に要する巡回時間が1/3になった」「2人で1日がかりだった実績報告の作業が1人半日でできるようになった」などの実績が報告されています。
兵庫県は、ケアプランデータ連携システムを導入した事業所に対して、効果を検証する調査レポートを発表しています。8つの居宅介護支援事業所・地域包括支援センター、10のサービス事業所が協力しています。
これらの事業所で、ケアプラン連携システムのサイトで配布されている効果検証のシミュレーションツールを用いて、費用対効果を検証を行いました。
居宅介護支援事業所・地域包括支援センタ_側 | 年間削減時間 33.0時間
年間削減額 506,102円 |
サービス事業所側 | 年間削減時間 73.4時間
年間削減額 663,648円 |
という結果が出ています。
居宅介護支援事業者側とサービス事業者側との情報連携について、アンケートを行った結果は以下の通りです。

ケアプランデータ連携システムの導入後の業務手順の変化については、居宅介護支援者側は「満足」「どちらかといえば満足」を合計すると88%に上り、非常に満足度が高いことがわかります。サービス事業者側の満足度も70%なので概ね好評だったと言えるでしょう。
一方期待した業務負担の軽減効果については、居宅介護支援事業者は「効果があった」「大きな効果があった」を合計しても50%に留まっています。
サービス事業者側も、「効果はあったけれども少ない」と回答した事業所が50%であることから、実際の導入効果は期待したほどではなかったという結果です。
しかしこの結果は、アンケートを取った段階で、ケアプランデータ連携システムの普及度は兵庫県では約10%前後であり、FAXでのやり取りがまだかなり残っているということを考慮するべきでしょう。普及が広がれば広がるほどこの導入効果は高くなってゆくと推定しできます。
ちなみにケアプランデータ連携システムの導入の進捗状況は全国平均で6.7%です。鳥取県が最高で26.4%で、利用率が5%に達していない都道府県はまだ12あります。
「試しに使ってみたいが、導入コストが気になる」「周りの事業所にも使ってもらいたいが、費用面のことがあり無理には誘えない」とお考えの事業所の方は、是非一度無料の期間中にどれだけ便利になるか、お試ししていただくことをおすすめします。
まとめ
個人的にはケアプランデータ連携システムは、永久無料で提供されるべきサービスだと思います。
月末月初の予算と実績の突合せと入力を全て紙で行うという「壮大な時間の無駄」が全国で繰り広げられています。
介護人材がこれだけ逼迫している中、介護事務など「本業のケア以外に要する時間」を少しでも減らさなければなりません。
データ連携システムのおかげで事務仕事を減らし、年収アップにつなげている事業所も既に現れています。
現在の月末月初に膨大な紙のやり取りが発生している状態は、システムで改善できるし、全国で節約できる人件費を考えれば、それを国が負担することは、介護業界全体の効率化から考えて極めて合理的です。
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[参考資料]
三菱総合研究所,令和2年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)介護分野の生産性向上に向けたICTの更なる活用に関する調査研究