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脳卒中・脳梗塞後のリハビリに最適:足こぎ車いすCOGY

公開日:2023.09.27
最終更新日:2023.10.05

デイサービスの職員の方で、ご利用者の方がなかなか参加してくれなくて困る、というようなお悩みはありませんか。

リハビリ=辛い、しんどいものと皆さん思い込んでいます。ですから積極的に参加していただける方は少ないのではないでしょうか。

今日は「つらい」から「楽しい」リハビリになる魔法の道具「足こぎ車いすCOGY」をご紹介したいと思います。

なんじゃそりゃ?と思いでしょう。足が動かないから車いすが必要なのであって、足でこげるわけがない、と普通は思います。

たまたま試乗する機会に恵まれ、製品がどういう経緯でできたのかを説明していただき、これは全く新しいタイプのリハビリ機器だと思いました。

ここでは「足こぎ車いすCOGY」がなぜ動かせるのか、利用者とデイサービス・病院等の事業者側の双方にとってどのようなメリットがあるのか、実際にデイサービスで導入した成果等についてもご説明したいと思います。

足こぎ車いす:足が不自由でも動かせる理由

足が動かない人が乗るのが車椅子。

したがって、車椅子というのは手で動かすか、モーターで動かすのどちらか、というのが常識です。私もそう思い込んでいました。

では、なぜこの車椅子で、足が動かない人が、足でこいで動かすことができるのでしょう?

実は、COGYをこげる可能性があるのは、片方の足が少しでも動かせる人に限られます。

とはいえ、6年間寝たきりの方でも動かせた実績もあるので、少しでも足が動かせればCOGYに乗れる可能性はあります。

足こぎ車いすの原型は、東北大学の半田康延教授(現名誉教授)の研究室から生まれました。

片方の動かせる足でペダルを踏むと、もう片方の動かない足がクランクによって体に引きつけられる。その動きが人の脊髄にある「原始的歩行中枢」を刺激し、反射によって動かない方の足がペダルを踏む形で前に出る。それを連続させることでペダルをこげるようになる、というのが、足こぎ車いすを動かせる理屈です。

「原始的歩行中枢」とは、まだ歩けない幼児を抱えて立たせて、地面に脚がつくと自然にもう片方の脚が前にでる、というのと同じで、脊髄反射で脚が前に出ているのです。

このように、特定の神経学的部位を刺激することで、神経活動を調整することを「ニューロモジュレーション」と言うそうですが、半田教授はこの分野の大家です。

ただ半田教授の研究室が作った試作機は、非常に重くかつ価格が数百万円。この試作機を市場に出し、一般の人が購入できるまで価格に引き下げたのが現在のメーカーTESS社です。

理論を踏まえた上で、非常に素晴らしいデザイン、かつ軽量というこの製品。エンジニアリングが素晴らしく、補助輪がついているおかげで安定しており小回りが利きます。製品の販売以来、転倒事故は過去1回も起きていません。

「足こぎ車いすCOGY」は、徐々に評価されてきており、販売以来、個人購入の方や多くのリハビリテーション施設などで導入されています。導入実績は国内7000台、海外合わせると1万台に上ります。

脳卒中・脳梗塞後のリハビリに最適

この足こぎ車椅子、実に大変な効果が実証されています。

特に脳卒中・脳梗塞などで片側の足だけ麻痺してしまった人、怪我などでどちらかの足が不自由で歩きづらくなってしまった人等、片方の脚力がある方には絶大な効果を発揮しています。

【株式会社TESS公式動画】

1) ご利用者の立場メリット

脳卒中・脳梗塞を発症して、リハビリを終えた方は、なんらかの麻痺が残っているため、外出が一人でできなくなっている場合が多いです。「元のようには歩けない」という半ばあきらめてしまっている人が大半です。誰かに一緒に行ってもらわなければ外出ができない。周囲の人に気兼ねをしないといけないわけです。

ところが、片方の足さえ動けば、この車いすを動かすことができ、行動の自由が得られるわけです。屋外に出る機会が増え、日常生活を楽しく送ることができます。

すぐにこのような状態にはならなくても、目標ができることによって、日常生活を前向きにおくることができます。

足腰を動かすと、脳や脊髄に対して刺激を送ることになり、脳の活性化につながります。

そして片方の足の脚力を維持する効果とともに、麻痺した足の側の筋肉も戻ってきます。これで少しずつ状況は良くなっていきます。

目標ができると辛いだけのリハビリが、いつか良くなるという希望が生まれ、リハビリに前向きに取り組んでくれるようになります。

2)リハビリテーションをする病院・施設側のメリット

上記のように利用者の方が目標を持つことができれば、リハビリをする側も機能回復の目標が立てやすく、やりがいもできます。

特に運動嫌いな男性にとっては効果的です。デイサービスに行くのを嫌がる、デイサービスに行っても運動をサボりがちな男性高齢者の方はかなりいます。

男性高齢者の場合、仕事をしていた方が多いことから、目的もなく集まってリハビリやレクリエーションに参加するのが苦手なのでしょう。現実に状況が変わるとか、目標がないと真面目に運動をしない方が多いと思います。

その点この足こぎ車椅子は、実際に動く速度や、距離を簡単に測定することができます。訓練の効果や成果を数字で見せることができます。

運動をサボりがちな男性ご利用者にはぴったりなリハビリ機器ではないかと思います。

急に麻痺した足の脚力が回復することは無理にしても、自由に散歩できる行動の自由を得られる可能性があるということは、どんなご利用者のとっても希望になります。

これはリハビリをする職員側にとっても、仕事のやりがいにつながります。

目標もなく現状維持だけをするリハビリに比べて、数字による改善を利用者様に見せることができ、リハビリ業務のやりやすさ、利用者の方へ声掛けのしやすさ、ひいては利用者拡大につながり、経営改善も期待できます。

足こぎ車椅子のリハビリ効果

足こぎ車椅子は、ご利用者の残存能力を落とすことがなく、麻痺した側の脚力を鍛えることができるという、リハビリの新しいツールとして多くのデイサービスで導入されています。

四国中央市 デイケアひかり2での利用事例がこちらです。

四国中央市 デイケアひかり2

大腿四頭筋の体重指示指数(WBI)の変化がはっきり見てとれます。

自力歩行が可能になるまで筋力が回復する可能性があるのです。

四国中央市 デイケアひかりの動画より抜粋

とはいえこういった車椅子類は実際に試してみないとその効果はわからないと思います。

個人的に試乗した感想ですが、非常にペダルが軽いです。操作は大変簡単です。ハンドルのみの操作で、複雑なボタンなどは一切ありません。乗ってすぐに操作をすることができます。

何よりもくるくると回転が速く、小回りがきくので乗ってみて非常に楽しかったです。

確かにこれを長い時間漕いでいると、太ももの筋肉を相当使うだろうということは、やってみて分かりました。

脚こぎ車椅子の試乗は、デモ機を持参またはお送りして、試乗してもらいます。デモ機を持つ代理店で予約が必要になります。ご興味ある方は、ご紹介しますので、こちらからご連絡ください。

まとめ:全く新しいタイプのリハビリ機器

以上足漕ぎ車椅子に実際に乗ってみたことからその効果について調べてみました。

一見したところ、普通の車いすと大差ないように見えますが、実は、先端研究の成果という足こぎ車椅子。

コンピュータもセンサーもないけれど、こういった研究成果を形にしたものもあるのだなと今回改めて感銘を受けました。

この製品のアイデアができてから、最終的に製品として販売されるまで、実に長い時間がかかっています。

日本は技術があっても製品化が難しいという話はよく聞きますが、まさにそれを裏付けるようなお話で、この製品は販売されました。

「足こぎ車いすCOGY」が製品化されるまでの物語についても、別ページでご紹介したいと思います。