買い物は、毎日の暮らしの中でとても身近な行動です。
「今日は何を買おうか」という小さな選択の積み重ねが、自分らしい生活を支えています。
ところが、軽度認知症になると、レジでの支払いに戸惑ったり、同じものを何度も買ってしまったり、帰り道が不安になったりすることがあります。
「一人で行かせて大丈夫かな」、そう感じるご本人やご家族、支援に関わるヘルパーさん、ケアマネージャーさんも多いのではないでしょうか。
ここ数年、スーパーやドラッグストアといった身近なお店が、認知症のある方の買い物を支えるための取り組みを大きく進めています。
買い物の場が、ただ商品を買う場所から、「安心して暮らしを続けるための場所」へと少しずつ変わり始めているのです。
この記事では、なぜ今、流通業界が認知症支援に力を入れているのか、どんなお店がどのような支援を行っているのかを、最新の具体例を交えながら、やさしく解説していきます。
目次
- 第1章|なぜ今、流通業界が認知症の買い物支援に本腰を入れているのか
- 第2章|共通キーワードは「認知症サポーター」
- 第3章|認知症の買い物支援最前線:スーパー・ドラッグストアの具体的な取り組み
- 第4章|認知症の買い物支援最前線:ドラッグストアの取り組み
- 第5章|認知症の買い物支援の実践編「認知症フレンドリーな行きつけ店」を決めておく意味
- まとめ|「買い物の場」が、地域の支えになる時代へ
第1章|なぜ今、流通業界が認知症の買い物支援に本腰を入れているのか
流通業界が認知症支援に力を入れ始めた最大の理由は、高齢化によって「認知症のあるお客様」が特別な存在ではなくなり、店舗が単なる買い物の場から「地域の見守り拠点」へと役割を広げざるを得なくなったからです。
2023年に九州大学が行った調査によれば、認知症の有病率は2022年の時点で認知症443万人、軽度認知症559万人と推定されています。65歳以上の人口の27%が、何らかの認知上の問題を抱えているということになります。
しかし、認知症といっても軽度の方の多くは、まだ一人で外出し、買い物をすることができます。その一方で、
- レジでの支払いに戸惑う
- 同じ商品を何度も買ってしまう
- 道に迷って帰れなくなる
といった日常の中の小さなリスクを抱えるようになります。
家族やヘルパーが常に付き添うことは現実的ではありません。
そこで注目されているのが、地域の高齢者が日常的に利用するスーパーやドラッグストアといった、「日常生活で頻繁に出かける場所」です。
国の認知症施策推進基本計画でも、「認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けられる環境づくり」が重要方針として掲げられています。
実際、日本では高齢者の行方不明事案の多くが、買い物や散歩など「外出中」に発生しています。
こうした流れを受けて、大規模商業施設から地域密着型の流通企業まで、全社的に認知症サポーターを養成する動きが出てきています。
大手のドラッグストア各社でも、調剤·接客の現場で見守り体制を強化する取り組みが広がってきました。
背景にあるのは、単純な福祉貢献ではありません。高齢者が安心して来店できなければ、地域の商業そのものが成り立たないという、流通業界自身の差し迫った課題でもあるのです。
流通業界が認知症支援に本腰を入れ始めたのは、高齢社会において「地域インフラとして生き残るための必然的な進化」と言えます。
買い物の場は今、認知症のある方にとっての「安全に社会とつながり続ける場所」へと姿を変えつつあります。
第2章|共通キーワードは「認知症サポーター」
現在、スーパーやドラッグストアで広がっている認知症支援の土台となっているのが、全国共通の制度で養成される「認知症サポーター」です。
特別な国家資格ではありませんが、一定の研修を受けた「正しい知識を持つ支援者」であり、流通業界の取り組みもこの制度を軸に設計されています。
認知症サポーターとは、厚生労働省と自治体が推進する制度で養成される、「認知症の症状や特性を理解した支援者」です。適切な声かけや接し方を学び、必要に応じて支援機関につなぐ役割を担います。
医療·介護の専門職に限らず、店舗スタッフ、企業の従業員、学生、一般市民など、誰でも受講·登録が可能です。
市区町村が実施する「認知症サポーター養成講座」は、原則として90分~120分(約1.5~2時間)が標準です。
内容は全国でほぼ共通しており、認知症の基礎知識、軽度認知症の具体的な行動例、買い物や外出時に起きやすいトラブル、声のかけ方·接し方、困ったときの相談先などが含まれます。
受講の流れも全国共通で、市区町村や企業、団体が実施する養成講座を受講すると、修了時に「認知症サポーターカード」や「オレンジリング」が配布され、その日から認知症サポーターとして活動できます。国家資格や更新試験はありません。

この制度は、厚生労働省と全国の自治体が、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に基づいて運営しており、研修内容や修了証、その位置づけは全国で共通です。
東京で取得した人も、地方で取得した人も、企業研修で取得した人も、同じ認知症サポーターとして扱われます。
流通業界の店舗スタッフが受講する場合は、市区町村の講師を店舗に招いたり、オンライン講座を活用したり、接客場面を想定したケーススタディを加えたりと、実務に即した形で研修が行われることが多い点も特徴です。
認知症サポーターは特別な専門職ではありません。しかし、全国共通の基準で研修を受け、認知症の特性を理解し、日常の場で支える役割を担う存在として、現在の流通業界の認知症支援の「共通言語」になりつつあります。

店舗でこのマークを見かけたとき、それは「ここには、認知症の方への接し方を学んだ人がいます」という、ひとつの安心材料だと言えます。
第3章 |認知症の買い物支援最前線:スーパー・ドラッグストアの具体的な取り組み
ここでは、流通業界大手でどのような取り組みが行われているのかについて、最新情報を整理しました。
3-1.イオン
イオンは、店舗を「地域の認知症対応の社会資源」と位置づけ、従業員の認知症サポーター養成を大規模に進めてきました。
認知症への取り組みも早く、2007年から、高齢化社会への対応の一環として、厚生労働省とNPO法人「地域ケア政策ネットワーク」が推進する「認知症サポーター100万人キャラバン」に、小売業として初めて全社的に参画しました。
現在、認知症サポーターは86,256人(2024年2月末時点)で、これは国内企業で最大規模です。
開店·改装のタイミングなど「現場が一斉に学ぶ機会」を作り、店頭対応のばらつきを減らすように工夫しています。社内講師(キャラバン·メイト養成)は約900人を育成しています。を含め、継続的に人材を増やす仕組みも示されています。
イオンは一部の専門担当者が頑張るのではなく、全店·全社規模で「日常対応の底上げ」を目指しているのが特長です。
3-2.イトーヨーカ堂
全従業員の6割に相当する約1万9千名の認知症サポーターを育成し、2025年には『認知症サポーターキャラバン』特別賞を受賞しています。

店舗·本部従業員に対して認知症サポーター養成講座を推進し、接客対応などを学ぶことが明記されています。
イトーヨーカドーは、店舗におけるご高齢のお客様に対する接客についてのご要望、お問い合わせが増加した事を受けて、2014年から認知症サポーター養成の取り組みを開始しました。
地域の行政や地域包括支援センター等との連携を強化してきました。その結果、これまでに、全従業員の6割、約1万9千名の認知症サポーターを育成してきました。
25年8月からは認知症当事者の方々のお声を参考に開発したパジャマとルームシューズをイトーヨーカドー56店舗の「あんしんサポートショップ」で販売開始しています。
従業員の研修に加えて、認知症当事者の要望をヒアリングしながら「自社商品·サービス開発」までつなげようとしています。
3-3.平和堂
平和堂は、全社方針として認知症サポーターの養成を掲げ、従業員の取得者数を明確な目標として管理しています。
2022年11月の公式発表で、認知症サポーターキャラバンの趣旨に賛同し、全社を挙げて養成に取り組むこと、そして1万人規模の取得者数を目標とする方針が示されました。
その後、2023年11月20日には予定を前倒しして目標を達成し、認知症サポーター取得者1万人突破を公表しています。
認知症サポーターへの取り組みが「宣言」で終わらず、数値目標の実現にまで至ったことは、非常に意義のある事例と言えるでしょう。
「地域共創」を掲げる平和堂は、認知症サポーター以外にも注目すべき活動を行っています。
①「かめさんレジ」の導入
スローショッピングを導入し、高齢のお客様だけでなく、お子様連れの方や障がいのある方など、さまざまな事情を抱えるお客様が安心して買い物を楽しめるよう配慮しています。急がず自分のペースでチェックアウトできるレジとして設定し、環境整備を進めています。現在は142店舗に設置しており、今後、全店への導入完了を予定しています。
スローショッピングは別のブログでもご紹介しましたが、売上貢献と地域貢献を兼ねたスーパーでの取り組みとして注目されています。
②男性用トイレ個室にサニタリーボックスを導入
ご高齢のお客様や、前立腺がん・膀胱がんなどの治療中の方など、外出時にパッドやおむつ、生理用品等の衛生用品の処分にお困りのお客様に、より快適なお買い物環境を提供するための取り組みです。
店舗をご利用になるお客様からお問い合わせやご意見ご要望を参考に導入されました。

男性用トイレにサニタリーボックスを導入する取り組みは、一部の大手家電量販店などでも見られます。
一見すると地味な施策かもしれませんが、こうした細やかな配慮がある店舗であれば、高齢の男性も安心して買い物を楽しむことができるはずです。
3-4.生活協同組合(コープ/CO-OP)
生協(コープ)は、「認知症バリアフリー宣言」を掲げ、店舗·宅配など生活に密着した接点を背景に、従業員の認知症理解(サポーター養成講座)と地域連携を早くから組織として進めてきました。
2008年度から全国の生協ととに職員を対象とした「認知症サポーター養成講座」は2025年2月28日現在、生協内キャラバン認知症サポーター合計人数50,863人(53会員生協)認知症サポーターキャラバン·メイト数2,084人(81会員生協+日本生協連)という規模にまで成長しています。
また、生協は2007年から自治体と「地域見守り協定」を結び、見守り活動を進めてきました。生協の「地域見守り協定」締結数は、全市区町村数の75%超となる1,308市区町村に達しており、安心して暮らせる地域社会づくりに大きな役割を果たしています。
生協の宅配サービスでは、毎週決まった曜日·時間に同じ担当者が商品を届けるという特性を活かし、「ポストに郵便物がたまっている」「届けた商品に手が付けられていない」など高齢者世帯の異変に気づいた際には事前に取り決めた連絡先に連絡·通報を行っています。
生協は「企業のCSR」という側面だけでなく、地域住民·組合員との活動の延長として見守り支援や認知症サポーターの養成が位置づけられています。
3-5.主要コンビニエンスストア
日本のほぼ全ての町にあるコンビニですが、「24時間·地域の近さ」という生活基盤として、認知症サポーター養成や見守り協定を通じて、地域の安心に関わる動きを強めています。ただし、全国組織としての実行レベルには各社で濃淡が見られます。
①ファミリーマート
自治体主催講座への参加や社内開催を進め、取得者数を公式ホームページで公表しています。2025年度現在、3,802人が「認知症サポーター」を取得しています。
②セブン‐イレブン
CSR資料で「認知症サポーターキャラバン」への参加や社内での養成講座開催に触れていますが、コンビニエンスストアとして、ホームページには公式な数字の公表はありません。
③ローソン
高齢化社会への対応として、店舗従業員向け「認知症サポーター養成講座」の受講を推進しています。具体的には自治体と連携して講座受講を促進し、認知症の方やその家族への理解を深め、店舗での見守り・声かけ、商品・サービスの提供を通じてサポートする体制を強化しています。
現在のところ、これはそれぞれの店舗における活動という範囲で行われています。
ローソンはこれ以外にも、神奈川県茅ヶ崎市や大阪市などと「高齢者にやさしい地域づくり推進協定」を締結しています。この協定では、防災ラジオの設置や高齢者の見守りネットワークの構築を通じて、地域全体の安心・安全を支えています。
コンビニエンスストアは、高齢者にとっても身近な生活基盤であり、24時間営業の特性から自治体からの協力依頼に応じやすい存在です。行方不明高齢者の捜索協力や、振り込め詐欺情報の店内掲示など、早期発見・被害防止に貢献しています。
第4章|認知症の買い物支援最前線:ドラッグストアの取り組み
スーパーやコンビニと並ぶもう1つの流通基盤であるドラッグストアでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
4-1.ウエルシア(ウエルシア薬局)
ウエルシアは、自治体の「認知症サポート企業」登録などと連動しながら、社内研修として認知症サポーター養成講座を実施し、店舗配置まで見据えた取り組みを進めています。
ウエルシア関東は2012年10月より埼玉県が推進する「認知症サポート企業」に登録し、社内研修カリキュラムとして「認知症サポーター養成講座」を開催しています。平成25年(2013年)1月7日および3月7日に同講座を実施し、約1,000名の従業員が参加しています。
認知症サポーター養成講座を社内研修に取り入れ、「一定期間で養成数の目標を持つ」方針が示されています。
加えて、地域社会の諸課題を解決する場として「ウエルカフェ」をコミュニティスペースに位置づけ、認知症サポーター養成講座なども積極的に実施しています。
ウエルシアは「研修で学ぶ」だけでなく、店舗を「相談·見守りの接点」にする試みに取り組んでいます。
4-2.スギ薬局
スギ薬局は、国内外の地域のヘルスケアのインフラになることを目指し公式に「店舗に認知症サポーターがいる」ことを明示し、サポーターを店頭の安心設計に組み込んでいる企業です。
公式ページで「スギ薬局グループのお店には認知症サポーターがいます」と案内し、来店者に対してステッカーも示しています。
認知症サポーターの育成も、社員に対する教育体系の土台として組み込まれています。特定の店舗だけの対応ではなく企業全体の標準対応として行っている点が強みです。
4-3.富士薬品(ドラッグストアグループ:セイムス等)
公式ページで、1200名の認知症サポーターの在籍、名札での目印、社内講師養成のため2025年度からキャラバン・メイト養成方針が明記されています。
全国で1,273店舗を展開していますが、認知症サポーターが配置されている具体的な店舗数まではホームページで公表されていません。
4-4.サンドラッグ
サンドラッグは、認知症サポーターの在籍を明確にし、全店舗配置に向けた教育を公式に掲げています。
公式ページ(オンラインストア内の案内)で、認知症サポーター在籍と「全店舗へ配置できるよう教育を実施」と明記しています。
2022年の統合報告書でも、責任者レベルのスタッフが認知症サポーター資格を取得していることが説明されており、今後は「店舗在籍」だけでなく、自治体·地域包括支援センターとの連携強化の方向性が示されています。
4-5.コスモス調剤薬局
コスモス調剤薬局は、早くから先進的な取り組みを進めており、2016年の段階で、全社員が認知症サポーター養成講座を受講し、全店に配置を完了しています。
公式ページで「全社員が受講」「全店に配置」を掲げ、認知症の方やご家族が安心して利用できる環境づくりを進めています。
他社に先駆けて全社員・全店体制を構築した先進事例と言えます。
4-6.中部薬品
中部薬品(V·ドラッグ)は、認知症サポーターキャラバンの公開資料によると、調剤薬局の薬剤師·事務スタッフ向けに認知症サポーター養成講座を開催し、2022年で600人が受講しています。
4-7.カワチ薬品
カワチ薬品は、認知症サポーターキャラバンの資料に、全国規模の実施企業·団体として掲載されており、組織として養成に関わっていることは確認できます。
ただし、スギ薬局や富士薬品のように「社内で何人養成」「全店配置」などを自社ホームページで明確に打ち出した一次情報は、現時点では見つかりませんでした。
4-8.ツルハドラッグ
ツルハドラッグについては、全従業員に対する統一的な達成目標人数や、全社的な実施状況に関する最新の具体的な数値は、企業ホームページからは確認できませんでした。
一方、自治体の「認知症サポーターのいるお店」登録制度の公開リストに店舗名には、愛知県春日井市、北海道網走市などでは、「認知症サポーターのいるお店」として掲載されてます。
認知症サポーター養成は、あくまで各店舗の個別対応として位置づけられているようです。
その他のドラッグストアチェーン
マツキヨ、クスリのアオキ、クリエイト、コクミンドラッグについても同様です。各店舗レベルでは個別の取り組みが見られますが、企業として認知症サポーターを組織的に育成・配置する方針まではホームページでは確認できませんでした。
第5章|認知症の買い物支援の実践編「認知症フレンドリーな行きつけ店」を決めておく意味
認知症のある方の買い物を支えるうえで効果的なのは、支援体制のある店舗を「行きつけ店」としてあらかじめ決めておくことです。
これにより、本人の自立をできるだけ長く保ちながら、家族や支援職の「もし何かあったら」という不安を大幅に軽減できます。
なぜ「行きつけ店」を決めておくことが重要なのか
軽度認知症の方は、新しい環境よりも「慣れた場所」で力を発揮しやすいことが知られています。
- いつも同じ売り場配置
- 同じレジの流れ
- 覚えた動線
こうした繰り返しは、混乱を減らし、「一人でできる」時間を延ばします。行きつけ店を持つことは、単なる習慣ではなく、認知機能を支える環境調整でもあります。
店舗側にとっても大きな意味があります。顔なじみのお客様に対しては、気づきと声かけがしやすくなるからです。
- いつもと様子が違う
- 支払いで戸惑っている
- 何度も同じ商品を探している
といった小さな変化に気づきやすくなります。そこに認知症サポーターがいれば、「どう対応すべきか」を学んだ上で、適切な声かけができます。
家族·支援職にとっても「頼れる先」明確になるというメリットがあります。行きつけ店を決めておくことは「どこで」「誰が」「どのように」支えてくれるのかを事前に共有することでもあります。
これは単なる見守りではなく、地域の環境そのものを支援資源として組み込む発想です。
自治体が公開している「認知症サポーターのいるお店」一覧をどう使うか
あまり知られていませんが、一部の自治体では、「認知症サポーターのいるお店」「認知症の人にやさしいお店·事業所」として、サポーターが在籍する店舗を公式に登録·公開しています。
この一覧は、行きつけ店選びの有力な手がかりになります。
「市区町村名+認知症サポーター+お店」と検索すると、
- 市の公式サイト
- PDFや一覧表
- 登録店舗マップ
が見つかります。そこには、スーパー、ドラッグストア、コンビニなど、日常的に利用できる店舗名が具体的に掲載されています。
もし近隣でこのようなリストが公開されていれば、登録店舗を調べて通いやすいお店を選び、「認知症サポーターの方はいらっしゃいますか」と一度声をかけてみましょう。これだけで、買い物の安心度が大きく変わります。
ヘルパーやケアマネージャーは、生活動線上の登録店舗を社会資源として把握し、外出・買い物支援の計画に組み込むことができます。認知症の方やご家族にも「こういうお店がありますよ」と具体的な情報提供が可能です。
これは、手段的日常生活動作(IADL)の維持、社会参加、事故予防を同時に支える環境調整型の支援として、ケアプラン上でも十分に位置づけられます。
認知症の方の買い物支援は、「付き添うか、やめさせるか」の二択ではありません。支援体制のある店舗を行きつけにすることで、一人で買い物に行ける時間を、安全に長く保つことができます。
本人の尊厳を守り、家族·ヘルパー·ケアマネージャーの不安を軽減する、これからの「認知症でも普通に暮らせる地域生活」の基本戦略と言えるでしょう。
まとめ|「買い物の場」が、地域の支えになる時代へ
軽度認知症になっても、「自分で買い物に行く」という日常は、できるだけ長く大切にしたい営みです。
それは単に物を買う行為ではなく、判断する力、社会とつながる力、自分らしさを保つ力そのものだからです。
本記事で見てきたように、近年、スーパーやドラッグストア、コンビニといった民間の流通企業が、認知症のある方を「特別な存在」ではなく、「地域で共に暮らすお客様」として正面から受け止め、認知症サポーターの養成や店舗の仕組みづくりを少しずつ進めています。
行政の制度が整うのを待つのではなく、日々高齢者と接する現場が動き出している姿勢には、強い感銘を受けます。
高齢化社会への対応は、しばしば「課題」として語られますが、流通の現場ではすでにそれを「これからの前提」として受け止め、具体的な行動に移しているのです。
認知症サポーターという全国共通の仕組みと、それを本気で現場に根付かせようとする流通企業の取り組みは、「一人で買い物できる社会」を理想から現実へと変えつつあります。
大切なのは、家族や支援職だけが抱え込むのではなく、支援の手が自然に差し伸べられる「環境」を、地域全体でつくっていくことだと感じます。
流通業をはじめとする民間企業が先頭に立ってその土台を築こうとしている今、その動きを私たちの暮らしの中で、上手に生かしていきたいものです。
本記事のような「認知症と暮らし」「地域と支援」に関する最新情報は、今後も継続してお届けしていきます。
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[参考資料]
令和5年度老人保健事業推進費等補助金「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」
https://www.eph.med.kyushu-u.ac.jp/jpsc/uploads/resmaterials/0000000111.pdf?1715072186
認知症サポーターキャラバン
https://www.caravanmate.com/goods/
「認知症サポーターキャラバン」実施状況
https://www.caravanmate.com/dcms_media/other/R06.12index00-05.pdf
イオンの認知症サポーター養成の取り組み
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001323879.pdf
イオン幕張新都心店従業員約1,000人が 開店に先駆けて「認知症サポーター養成講座」を受講
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000007505.html
人にやさしいお店づくり
https://www.aeon.info/sustainability/social/heart_bldg/
全従業員の6割、約1万9千人の認知症サポーターを養成『認知症サポーターキャラバン』特別賞を受賞
https://www.7andi.com/sustainability/news/2025/77325.html?utm_source=chatgpt.com
イトーヨーカドーのサステナビリティアクション
全社を挙げて「認知症サポーター」の養成に取り組みます
https://www.heiwado.jp/news/2022/1122_supporter.html?utm_source=chatgpt.com
全店の認知症サポーター取得者が1万人を突破
https://www.heiwado.jp/news/2023/1205_sustain.html
地域貢献活動
https://www.uny.co.jp/csr/society/community/
認知症バリアフリー宣言
https://ninchisho-barrierfree.jp/search/detail/58/
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超となる1,308市区町村に到達
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000040982.html
ファミリーマート地域社会の発展・活性化
マチの健康ステーション」を理念に掲げるローソン
https://helpmanjapan.com/article/4901
みなと認知症サポートステーション認定制度
https://www.city.minato.tokyo.jp/koureisoudanshien/202109nintisyousapo-toten.html
地域活動レポート2013
https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/csr/csr2013
当社子会社による埼玉県「認知症サポート企業」への登録について
https://www.welcia.co.jp/ja/news/news-6681290810508807226/main/0/link/0000000279.pdf
スギ薬局認知症サポーター
https://www.sugi-net.jp/service/service/dementia
スギ薬局の認知症に関する取り組み
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001323768.pdf
認知症サポーター
https://www.seims.co.jp/service/dementia-supporter/
サンドラッグの店舗には認知症サポーターが在籍しております
https://sundrug-online.com/pages/dementia-supporter
統合報告書 2022
すべての店舗に認知症サポーターを配置しています!
https://www.cosmos-ph.co.jp/679/
多様な人材が働く地域の健康ステーション
https://www.caravanmate.com/dcms_media/other/R06.3index00-05.pdf
