認知症のご高齢の親御さんを持つご家族にとって、高齢者本人にお金をわたしたり、クレジットカードを預けるのは、正直不安なところです。財布を落としてきたり、とんでもない額の買い物をしないかというのが心配になるからです。
かといって、無理やりお財布を本人から取り上げると、本人が自立して生活する意欲を失ってしまい外出する機会が減ってしまう恐れがあります。
このようなジレンマの解決に向けて、認知症の方とご家族が、お金の管理を楽にできる画期的なサービスができたのでご紹介します。
このサービスはプリペイド方式でお金を管理しますので、リスクは一定の限度額で済みます。また要介護者を支える家族のみならずヘルパーさんや介護施設の職員でも使えます。
認知力低下に悩む高齢者向けキャッシュレス決済「KAERU」とは
KAERU(カエル)は、物忘れが気になりはじめた方、軽度認知症を患う人向けのプリペイドカード式決済サービスです。
認知機能に自信がない方でも、楽しく買い物に行くことができ、なおかつご家族や支援する方も安心な決済サービスです。

まず、カードを持っていればキャッシュレスでお買い物ができます。小銭を持ち歩く必要がないので、ご利用者ご本人が、「レジで支払いに時間がかかる」「おつりの計算が難しい」という心理的な負担を抱えずに済みます。
このプリペイドカードは、Mastercardのマークがある全国のコンビニやスーパー、ドラッグストアなどのお店で利用できます。
プリペイドカード方式では1日の上限を決めて、毎日自動でチャージされる仕組みになっています。例えば上限金額3,000円に設定して500円使うと、翌日の自動チャージでプリペイドカード残高は3,000円に戻ります。この上限額は自由に変えることができます。
仮にカードを落としたとしても、被害額は1日の利用上限金額で済みます。
家族の方からリモートでチャージをしたり、紛失した場合はカードを止めるという操作もできます。
買い物に出かけるということは、高齢者の方にとって日常の良い運動です。本人はもとより、ご家族や支援する介護職の方のほとんどは、体力維持のために「買い物に出かけてほしい」と考えています。
ご家族の方から、親御さんにお金をわたすときには、全てこのカード経由にすれば、どこで何に使ったかの履歴を見ることができます。
このカードがあれば、本人も釣銭の計算に悩むことから解放され、気楽に買い物に出かけることができ普段通りの生活をすることができます。
便利なメモ機能アプリ
カードが1枚あればこのキャッシュレスサービスを利用することはできますが、認知機能が低下した方向けに便利なスマホアプリもあります。
軽度認知症の方のお悩みとして、買い物をし忘れたり、同じものを何個も買ってしまったりということはよくあります。
こういったことを防ぐために買い物メモを作りますが、その買い物メモをどのポケットに入れたかわからなくなってしまうということもあります。
こういったお悩みを解決するためにスマホでメモ機能のアプリもあります。
開発メーカーはこのアプリを試作する時に、約150人の認知症当事者の方とご家族、介護や医療の専門職の方々とリアルやオンラインでヒアリングしています。
アプリに慣れた結果、軽度認知障害(MCI)をお持ちの50代の女性は紙のメモは一切使わなくなりました。「買い忘れたものを買い直しに行くことが減った。紙のメモをつくる手間がなくなり、ストレスが減った」というお声もあります。

離れて暮らすご高齢者の金銭管理に最適
このプリペイドカードは、離れて暮らすご両親、特にその方が軽度の認知症であったりする場合には、金銭管理に大きな安心をもたらしてくれます。
特に、デイサービスの方やヘルパーの方にお買い物の代行などをお願いしている場合に、とても便利です。
一人暮らしの高齢者が、ヘルパーの方に買い物代行をお願いする場合、今はヘルパーさんに現金をお渡しして、金銭出納帳をつけるしかありません。
お釣りがあったら、レシートとともに現金袋に戻してもらうやり方です。ヘルパーさんを信頼してお任せする以外に方法がありませんでした。
しかしプリペイドカードがあれば、このカードをヘルパーさんにお渡しすればよいだけです。
アプリで買い物の履歴も分かりますから、離れて暮らしていても、いつ何を購入しているのかの生活の実態も判ります。
施設入居者の方の金銭管理も安全
ご高齢者が入居する介護施設でも、便利に使えます。ご高齢者が入居する部屋には、職員の方をはじめ、ヘルパーの方、看護師さん等いろいろな方が出入りします。
介護施設の側としては、大きな現金を置いておくのは盗難などトラブルの元になってしまうので、なるべく避けてほしいのが本音です。しかし、同時に自分の足腰がしっかりしている方には施設の外に出て、自由にお買い物をしてほしいと思っています。なのである程度の現金を各部屋に置いておく必要はあります。
リスクがあると判っていても、施設側にとっては入居している方の金銭管理を全て行う手間と時間はありません。
しかし、このプリペイドカードを使えば、施設の入居者の方は全員キャッシュレスでお買い物を楽しむことができます。
施設側は金銭管理の手間をすべてなくし、ご入居者のご家族に金銭管理を担っていただくことができます。ご入居者の家族の方は、どんなに離れていても対応ができます。
地域の社会福祉協議会などが行っている成年後見向けの機能も備わっています。
専用の支援画面から、複数のご利用者の利用状況や残高を確認して、遠隔でチャージ、設定変更ができる機能です。
このようにプリペイドカードでキャッシュレスで使えるようにしたこと、1日の上限額までは自動チャージ、それ以上は使えないという形にすることで、認知機能に不安のあるご利用者の方も安心して日々の買い物を楽しめるようになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この「KAERU(カエル)」というサービスを作ったベンチャーは作った会社は2020年設立のベンチャーです。
創業メンバー全員は、これまでのインターネットのフィンテック事業の事業開発や、サービス立ち上げに関わってきたプロの方ですが介護の専門家というわけではありません。
介護業界外の方が、認知症のケアに関わる方や介護職員など多くの方にヒアリングして作ったサービスです。
高齢者の方の金銭管理というのは、どのご家族も直面する問題です。認知機能低下の高齢者が増えるこれからの世の中の課題解決に一役買ってくれそうな決済サービスです。今後もこのような新しいサービスが出てくることを期待します。
[参考資料]