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在宅介護での服薬支援ロボット「FUKU助」声かけの威力は侮れない

公開日:2024.07.31
最終更新日:2024.07.31

ご高齢の方のお薬の管理って意外と大変です。

飲む順番とか飲む量が多くなってくるからです。

飲み間違い、飲み忘れ、薬をなくしたりとかというのはしょっちゅうあります。

しかし、薬の飲み忘れは、認知症等の場合にはQOLに関わってくるので結構深刻な問題です。

同居していて、毎日注意しても、それでも忘れるのが人間です。

まして、同居していない高齢者の方の場合、医者の言われたとおりに薬を飲めているのか、心配な方が多いと思います。

これまでお薬ボックスとか壁に吊り下げるタイプとか色々なグッズが工夫されてきましたが、いよいよこれもロボットが登場しました。

  • 離れて一人暮らしをしている親が薬を飲めているかどうか心配
  • 生活時間帯の違う親世代の時間に合わせて電話するのは無理
  • 一人暮らしをしている親が薬の管理ができない

服薬支援と見守りを一緒にやれるという便利なサービス、服薬支援ロボット「FUKU助」が出てきました。

これが実際に使い物になるのか、私が遠隔介護をしていた時の状況を思い出しながら考えてみました。

服薬支援ロボット「FUKU助」が画期的な理由

服薬支援ロボット「FUKU助」が画期的だと思ったのは、ビデオ会議やセンサーで

沢山の機能がついているからではありません。

31日間分のお薬が一箇所で管理でき、飲み忘れが防げる声掛けができることです。

「お薬飲んだ?」と所定の時間に声掛けしてくれます。

薬の管理は結構大変

まず、大前提として、服薬支援ロボット「FUKU助」に入れるお薬は、一包化(分包)にしてもらう必要があります。

一包化(分包)とは、服用時期が同じ薬や1回に何種類かの錠剤を服用する場合に、それらをまとめて1袋にすることです。これで飲み忘れや錠剤の紛失がなくなります。

一包化(分包)は、処方箋を持って行った薬局でお願いすれば、無料で対応してもらえます。

これを、31日分まとめて入れておくことができます。

ボックスタイプでもそこまで大きいものはなかなかありません。展示会などでも、壁に掛けるタイプタイプのものがありましたが便利そうなものは少なかったです。

我が家では、その日に飲む薬を忘れないように、薬の表に大きな字で日付を書いて、カレンダーに貼り付けていました。

このやり方ですと、薬が多くなるとカレンダーにスペースが足りず、貼り付けきれなかったです。

ですので、1ヶ月の薬をコンパクトに失くさずに管理しておけるということは、まず素晴らしいことなのです。

適切なタイミングでの声掛け

高齢の親の生活時間帯は、普通に働いている子供世代とは異なります。

薬の飲み忘れに注意しようと電話したくても、毎日仕事している時間に電話するのはかなり難しいです。

親世代がメールやチャットができれば良いですが、そういう人ばかりではありません。

服薬支援ロボット「FUKU助」は設定した時刻になったら、自動で声掛けをしてくれます

ただ、高齢者の一人暮らしというのは気ままなものです。食事の時間がずれ込むことはあるし昼寝をしていて起きてこないなんてこともよくあります。

設定した時間通りに服薬してくれなかった時にどうするか。

高齢者の方がロボットの前を通りかかった時に、所定時間(初期値120分)以内は、人が通りかかる都度、声がけしてくれます。

これはとても安心です。

ここまでの声掛けは、家族が同居しててもなかなかできません。

ただし、所定時間を超過した場合、そのタイミングでの取出しをあきらめて、次のお薬に切り替わります。

お薬の取り出しがなかった場合は、通知メールが送信されます。

ここまで注意喚起をしてくれたら、服薬管理ロボットも価値があると思います。

”惜しい”ポイント1:薬のセッティング

前述したように、1か月分の薬をコンパクトに失くさずに管理しておけるということは、素晴らしいことです。

が、服薬支援ロボット「FUKU助」に薬をまとめて詰めるときに、分包の1つ1つの袋に丸いシールを貼らないといけません。

月に1回でよいとはいえ、これは結構手間です。

特許取得と書いてありますので、どうやらこれは貼らないと動作しない類のものと推定しますが、ここまで手間がかかるのなら、大きなカレンダーに分包を貼り付けてゆくのと手間は変わらないです。

ちなみに漢方薬の顆粒の袋はそのままボックスに入れることができるようです。

惜しいポイント2:「飲んだふり」は防げない

もう1つ、高齢者の方の場合、人生の先輩だけあって「飲んだふり」をする演技力があるということです。

特に飲みたくない薬や医者にうるさく言われるのが嫌な場合、飲んだことにして、薬を捨ててしまう、という方もおられると思います。

お薬管理ロボットは、薬を取り出したら、「服薬した」と認識するので、実際に飲んだかどうかはわかりません。

実際に会った時に薬の袋が開封されているか、検診の時に投薬の効果が出ているかを確認しないと本当のところはわかりません。

ただ、意図的に「飲んだふり」をするご高齢の方の状態をトレースするのは、かなりハードルが上がります。

そこまではロボットには期待すべきではないのかもしれません。

まとめ

お薬管理ロボットにはセンサーがついています。薬を取り出したら、指定したスマホに連絡メールが送信されます。ちゃんとお薬飲んでるかわかります。ロボットの置かれた部屋の温度や湿度がわかるので、熱中症の予防ができ、脱水症状を防ぐこともできます。

服薬支援と見守りを合わせてやってくれそうな可愛いロボット、これは使えるかな、と期待できそうです。

実際に自分で服薬管理ができなくなった方でも、自立して自宅で過ごすことができ、規則正しく服薬ができ、認知機能も改善できたというご利用者の声もありました。

ビデオ通話機能がついているので、いざという時にお話もできるので、これは使えるかなと思いました。

服薬管理というのはまだまだ不便で、こういった新しい製品やサービスが出てくるとありがたい分野です。

この製品、Amazonでも購入できます。レンタルもありますが、残念ながら、介護保険のレンタル品目には
服薬補助具という区分がないため、服薬支援ロボットは保険適用の対象外となります。

在宅の介護でもこのように自宅での服薬管理がもっと便利になっていくと良いなと思います。