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介護の質をあげ他職種連携に貢献:歩行分析AI トルト

公開日:2023.12.18
最終更新日:2023.12.18

要支援や要介護1、2の介護利用者様の歩行の状況を客観的にアセスメントしたいけど、手軽にできるツールがない。

こんなお悩みをお持ちのケアマネージャーさんは実は多いのではないでしょうか。

最近では3Dカメラに向かって歩くだけで歩行の分析ができるツールも出てきました。

しかしこれも結構費用がかかるので、すぐに使えるようにして置いておくというわけにもいきません。

本記事でご紹介する歩行分析AIトルトは、特別な装置は一切使わず、スマホだけで歩行分析ができるアプリです。

展示会で見かけた時には、歩行分析ツールがちょっと進化したんだなという認識で、このツールのメリットに気づきませんでした。

しかし調べてみるとスマホでできるということには、想像以上のメリットがありました。

今日はこの歩行分析アプリと従来のシステムとの違い、優れているポイントについてご説明したいと思います。

 

トルト歩行分析とは

スマホで歩行動画を「撮る」だけで、簡単に歩行分析ができます。

理学療法士の知見を基に開発されたAIを活用したアプリです。

AIを使っていて本当に歩行の精度は大丈夫なのかと思われるところでしょう。

こちらが歩行分析の精度が高いことが証明されている歩行分析装置(OptoGait)との比較実験の結果です。

0~1の範囲をとり、一般に高い信頼性があると判定される0.7程度を超えています。

ものすごく高精度な歩行分析、とまでは言えないかもしれないけれども、手軽に歩行分析がスマホでできるツールと言えます。

 

従来の歩行分析機器との違い

それではこれまでの歩行分析機器とトルトとは何が違うのでしょうか。

1)どこでも手軽にできる

従来の歩行分析機器は、身体になにかしら装着する必要がありました。

身につけるものはマーカーになるベルトだったり、センサーだったりします。体に装着した機器にあるセンサーやマーカーを動画で撮影して解析すると、歩行のパターンを定量化して表示することができます。

ベルトやセンサー等があると、取り付ける手間も出てきますし、そのままセンサーをなくしてしまうという心配もあります。

またセンサーで計測された歩行の結果は、そのセンサーと接続された特定のパソコンでしか見ることができませんでした。

結局、体に装着する機器とパソコンという設備は一体で、一箇所に置いて使わなくてはなりません。

ここ数年は、体に装着する機器が不要な歩行分析の仕組みも出来てきました。

マイクロソフトが販売する3Dセンサー「Kinect(キネクト)」を使った歩行姿勢測定システムです。

この場合は3Dセンサ内蔵のカメラに向かって歩き、その結果をカメラと接続したパソコンに表示させるというものです。

イメージ:Wellupホームページより

この場合にしても、パソコンと3Dセンサ内蔵のカメラが置いてある場所に行かなければ歩行計測はできませんでした。

もちろんこのような歩行分析のシステムは重たいものではないので、持ち運びはできます。

できますが、機器の設定や調整、パソコンの接続などの手間があるため、手軽に使えるものではありませんでした。

手軽にできるとは言っても、健康増進のイベント会場で、専門業者の方に設置して使ってもらうというところまでだったのです。

ところが、トルト歩行分析は、完全に「マーカーレス」つまりベルトやセンサー等を何も身に着けることなく、動画を取るだけでAIが自動で関節位置などを推定します。

この技術は、「姿勢推定」「骨格推定」などと呼ばれるものですが、これまでは精度が十分ではありませんでした。

この推定の精度をAIを使って飛躍的に高めたのがトルト歩行分析です。

スマホ1つで動画さえ撮れば、自社のデイサービス事業所内でも歩行分析ができるというこの圧倒的な手軽さは、他の歩行分析の仕組みでは実現できないものです。

2)計測結果を共有できる

アプリで表示した歩行計測の結果出力された「コミュニケーションシート」はPDFで出力できます。スマホでそのままご利用者やご家族、ケアマネージャーへメールやLINEで共有できます。

WIFI接続でパソコンを介さず、直接プリンターで印刷もできます。

パソコンを持っていないご家庭が圧倒的に多い高齢者のご家庭で、スマホさえ持っていれば計測結果を共有できるというのは大きなポイントです。

私も知り合いのデイサービスのイベントで歩行計測をやらせていただいたことがあります。

3Dタイプでカメラに向かって歩けば計測ができると言うタイプのものでした。

計測結果は、自分の年齢プラス5歳と多めに出たので、これは精度に問題あるなと思ったことも覚えています。

継続した結果は、その場にあったプリンターで紙出力して渡してもらえました。

プリンターがなければ自分で結果を持ち帰ることはできなかったでしょう。

こんなものかなと思いましたが、PDFでLINEかメールで送ってもらえれば、紙を失くすことがないので、とても便利だと思います。

 

トルトを導入するメリット

介護ケアのアセスメントの質が高まる。

手軽に転倒リスクの分析ができるようになるので、介護のケアのアセスメントの質が高くなります。

トルトの独自調査ではありますが、8割ものケアマネージャーは自分が担当する利用者で歩行分析を希望しています。

少なくとも定期的に歩行計測をすることによって、利用者の状況を客観的に数字で把握できるようになり、いつどの段階でどのような訓練をすれば良いかというノウハウが確実に蓄積されるはずです。

多職種連携が進む

ケアマネージャーさんを中心に理学療法士、看護士、利用者家族等が集まるサービス担当者会議で、ケアの方向性がバラバラで意見がなかなかまとまらないことも多いと思います。

介護のプロ、看護のプロ、リハビリのプロというそれぞれ専門の方が集まって話し合うわけですから、最終的には「個人の見立て」に頼った意見のぶつかり合いというのも起きがちです。

しかし、歩行計測という定量化された数字を、他の職種の方とデータを共有することによって、誰か特定の人の見立てに依存することがなくなり、多職種間で共通の認識を持つことができます。

共通認識を持てるようになれば、計測の結果の変化にも対応できるようになり、次は何をするかというデータに基づいた次のアクションを取ることができます。

強力な営業ツール

デイサービスにおけるマシントレーニングでも、利用者本人からすればやったらやりっぱなしで、結果がどうなったか、成果が出ているのか分かりづらいのが現実です。

しかし定期的にでもこのようにチャートや図表を見せてもらい、訓練の結果どうなったのかが自分で把握できれば、デイサービスに通う利用者本人のやる気は、全く違ってきます。

また、結果が良し悪しに関わらず,こういったコミュニケーションシートをスマホでいつでも見れるというのは利用者の家族にとっても大きな安心材料になります。

本人のやる気も違ってくる、利用者家族も安心となると、他のデイサービスよりもこのデイサービスを選ぼうというきっかけになります。

そしてデイサービスに通う継続率もまた上がってきます。

また、利用者の結果のチャートやコミュニケーションシートをPDFでケアマネージャーさんへと共有できるということは、ケアマネージャーさんへの営業の最適なツールになります。

ケアマネージャーへの認知度向上や、利用者さんの家族を巻き込む強力な営業ツールであるとも言えるのです。

このようなメリットもあり、トルト歩行分析はサービス開始後、わずか2年で導入実績は500事業所、累計の動画投稿数も33,000を突破しました(2022年10月末時点)

こちらの導入事例も参考になります。

 

トルト歩行分析を作った会社

トルト歩行分析を作ったのは、株式会社エクサホームケアという会社で、AIを利活用した介護・福祉用具関連サービスの開発、販売を行っています。

この会社は福祉用具レンタル・販売事業の株式会社ヤマシタと、株式会社エクサウィザーズが提携し2021年に設立されました。

株式会社ヤマシタは、介護業界で知らない人はいない福祉用具販売レンタルの超大手企業で、医療業界へのリネンサプライからスタートした1963年創業の老舗企業でもあります。

一方、株式会社エクサウィザーズはAIで社会的な課題解決を目標としたベンチャー企業で、2021年にマザーズに上場しました。

これまで国内時価総額トップ100社の半数以上を含む500社超の企業にAIを活用したソリューションを提供していますが、介護福祉の世界では全く知名度はありません。

この両社の提携によって、ヤマシタはデータの基づく科学的介護を推進すると同時に、自社の福祉用具提案に役立てることができます。
そして、エクサウィザーズは介護業界への営業拡大を見込みことができ、数万人規模での歩容解析データを取得することで、社会課題の解決と同時に新たなサービスを生み出すことを狙っています。

 

まとめ

このように、スマホ1つで歩行分析ができ、それをすぐにシェアできることで、デイサービスでの在宅介護のアセスメントの質があがり、利用者の方のやる気も上がってデイサービスの経営にも好影響がでる、ということを見てきました。

自動で関節位置などを推定してくれる「姿勢推定」「骨格推定」等のAIアルゴリズムの技術について、きっと凄いものなのでしょうが、ここでは述べません。

素人から見れば、歩行のアセスメントレポートがアウトプットされるという「機能」は従来のものと、それほど変わらないのです。

しかし、そのレポートを手軽にどこでも作成でき、それをケアマネージャーや利用者家族を含めて必要な人にすぐにシェアできることによって、地域における多職種連携を進め、介護の質を上げることにつながります。

今後地域でデイサービス利用者を増やしてゆくという経営という観点からもこういったアプリは必要不可欠なのではないでしょうか。

このサービスは個人での契約はなく、あくまで介護事業者の方との法人契約のみになります。

契約価格は非公開ですので、興味のある事業所の方はこちらからご確認ください。

今後ともこのような介護のICTやDX化についての最新の情報をご案内していきたいと思いますのでよろしければこちらからご登録をお願い致します。