通所リハビリテーションについての内容や類似するサービスのデイサービスとの違いについてご説明いたします。
通所リハビリテーションとは?
通所リハビリ(デイケア)は、利用者が介護老人保健施設、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設へ通い、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うサービスです。
サービス内容
1.食事サービス・・・利用者の身体の状態(アレルギー等)に合わせた食事の提供、スタッフによる食事や飲水の介助を行います
2.入浴サービス・・・身体・要介護状態により一般浴(普通浴)、車椅子やストレッチャーのまま入浴できる機械浴(特浴)による入浴サービス、利用者の全身状態などの健康状態も確認します。
3.送迎サービス・・・主に福祉車両(車いす・ストレッチャー乗車等)による利用者の送迎を行います。
4.健康状態の確認・・・利用者の体温・脈拍・血圧のバイタル測定、体調面(睡眠の状態等)を看護師・スタッフにて確認します。
5.生活相談・助言・・・生活上の問題など支援相談員による相談対応をします。
6. リハビリテーション(歩行訓練等)
理学療法士、作業療法士による身体機能のリハビリ、歩行練習(屋内、屋外)、基本動作訓練(寝返り、起き上がり、移乗動作など)、日常生活動作訓練(階段の昇降、入浴、トイレ動作など)
7.レクリエーション・イベント・・・身体機能や認知機能の維持・向上を目的としたレクリエーション。
利用者へ季節の移り変わりを意識したイベントの開催
通所リハビリの現状と課題
通所リハビリはデイケアの名称にて知られています。
通所リハビリ事業を実施する場所としては病院、診療所、介護老人保健施設に限られたサービスです。他のサービスと比べますと開業の際には人員募集、費用、時間がかかります。
通所リハビリの事業者数と事業主体の割合は(平成29年)
・病院、診療所 3,950施設 52%
・介護老人保健施設 3,679施設 48%
合計7629施設と通所介護に比べて少ない数ですが、施設数は増加傾向です。
通所介護との違い
通所リハビリ(デイケア)はサービスの内容が似ている通所介護と混同されてしまいますが違いについては下記のとおりです。
・サービスの目的の違い
通所リハビリは利用者の心身の機能の機能回復を図ることを目的としています。
通所介護は利用者の孤立感の解消・心身機能の維持、家族の身体的・精神的負担軽減を目的としています。
・主治医の意見書の有無
通所リハビリにてリハビリを受ける際には利用者の主治医意見書が必要になります。
通所介護では利用時には必要ありません。
・配置する職種の違い
通所リハビリでは介護士の他、医師、看護師、理学療法士等の医療有資格者を配置します。通所介護では無資格者の他、介護福祉士、社会福祉士、社会福祉主事等を配置します。
似て非なる通所介護にあらたな機能訓練サービスの台頭
明確な違いがある通所リハビリと通所介護ですが、近年では通所介護によるリハビリ強化型のサービス、半日型運動強化型サービスも台頭してきています。通所リハビリではより専門的なリハビリの内容が求められてきています。
機能訓練とリハビリの違いとは?
機能訓練とリハビリは意外とその違いを知らないことがあります。
リハビリは医師の判断や指示により理学療法士等のリハビリ職と言われる専門職を中心に治療・改善を行います。
一方、機能訓練は機能訓練指導員より機能の改善・減退防止を目的として訓練するもので、維持・予防のために行います。
リハビリは医師の指示による治療、機能訓練は機能指導員による日常生活を営むのに必要な機能の減退・防止を行うものと理解してください。
開設について
※人員に関する基準
(1)人員基準
管理者
事業所ごとに1名(常勤)
医療機関の管理者がこれにあたるが、管理者代行者として、医師、理学療法士、作業療法士、又は専らサービス提供に当たる看護師のうちから選任することができる。
① 介護老人保健施設、介護医療院、病院、医師 常勤専任で1名以上
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、介護職員(以下「従
業者」という)サービス提供時間帯を通じて、利用者10人までは1人以上、10人を超
える場合は10:1以上上記人員のうち、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(以下「P
T等」という)が、100人又はその端数を増すごとに1人以上
② 診療所
医師
利用者の数が同時に10人超の場合、常勤専任で1名
利用者の数が同時に10人以下の場合、専任で1名以上
(専任医師1人に対し、1日48人以内)
従業者
サービス提供時間帯を通じて、利用者10人までは1人以上、10人を超
える場合は10:1以上
上記人員のうち、PT等又は通所リハビリテーション若しくはこれに類するサービスに1年以上従事した経験を有する看護師が、常勤換算で0.1人以上
(参考)
○「常勤」とは、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務する時間すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいう。
※ 同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事
業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えない場合は、通算可能である。
○「常勤換算方法」とは、当該事業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業
者が勤務すべき時間(週32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数換算する方法をいう。
○「専ら従事」、「専ら提供に当たる」とは、原則として、サービス提供時間帯を通じて
当該サービス以外の職務に従事しないことをいい、サービス提供時間帯とは、事業所
における勤務時間(サービスの単位ごとの提供時間)をさし、従事者の常勤・非常勤の
別を問わない。
※ あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の
従事者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以
外の職務に従事しないことで足りる。
○「利用者数」「利用定員」とは、指定通所リハビリテーションについての利用者の数ま
たは利用定員をいう。
(①利用者の数:実人員、②利用定員:あらかじめ定めた利用者の数の上限)
設備基準
※設備基準
・病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院であること。
・通所リハビリを行う専用の部屋等 利用定員×3㎡以上
(介護老人保健施設の場合は食堂の面積を加える。)
・消火設備その他の非常災害に際して必要な設備並びに必要な専用器械及び器具
通所リハビリは、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の中で行われるものですので、通所リハビリ事業開始の際には、事前に、それぞれの本体施設と通所リハビリの区画の分けや機械及び器具の共用について、確認してください。
※参考情報:兵庫県通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーションの手引きより引用