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新人管理者の基礎知識 介護サービス 通所介護事業

公開日:2021.12.28
最終更新日:2021.12.28

通所介護(デイサービス)についてサービス内容と事業の現状と課題などについてお伝えいたします。

サービス内容・現状と課題 開設の条件について

通所介護事業とは?

通所介護(デイサービス)は、利用者が事業所(デイサービスセンター)へ通い、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練を日帰りで行う介護サービスです。

サービス内容については

1.食事サービスの提供・・・利用者の身体の状態(アレルギー等)に合わせた食事の提供、スタッフによる食事の介助を行います
2.入浴サービス・・・要介護・身体の状態により一般浴(普通浴)、車椅子やストレッチャーのまま入浴できる機械浴(特浴)による入浴サービス、利用者の全身状態などの健康状態も確認します。
3.送迎サービス・・・車両(福祉車両等)による利用者の送迎を行います。
4.健康状態の確認・・・利用者の体温・脈拍・血圧の測定、体調面(自宅でのご様子、睡眠の状態等)を看護師、スタッフにて確認します。
5.生活相談・助言・・・生活上の問題など生活相談員による相談対応をします。
6.日常生活動作の訓練・・・利用者の日常生活における最低限必要な基本的動作(食事、排泄など)について確認、検証し出来る限り自立した生活が出来るように看護師、スタッフにより指導を行います。
7.レクリエーション・イベント・・・身体機能や認知機能の維持・向上を目的としたレクリエーション、季節のイベント(初詣、節分、花見、七夕等)、誕生日会などの提供
上記のサービス提供を3時間~9時間の利用時間にて提供します。
通所介護については利用者の人数によりサービスの区別がされています。
利用者定員19人未満のデイサービスセンターを地域密着型通所介護と呼びます。

通所介護と地域密着型通所介護の違いとは?

地域限定の利用
通所介護では異なる市町村(営業えりあ)にて運営できますが、地域密着型通所介護は事業所のある市町村の住民限定(地域密着)となっております。あくまでも原則ですので市町村によっては利用ができる可能性があります。
介護報酬の額
通所介護          7-8時間利用 要介護1 598単位(5980)
地域密着型通所介護     7-8時間利用 要介護1 739単位(7390)
と報酬額に差があります。

通所介護は一般的にはデイサービスとして浸透しています。
※人員や設備については利用者数(定員)により条件が異なります。
居宅サービス(福祉用具以外)では最も多く利用されているサービスです。
平成30年度の厚労省の統計のよりますと通所介護の利用者数は220万1300人と過去最高を更新しています。
事業者数は43824件(通所介護:23861地域密着型:19963)通所介護は増加傾向です。
今後ますます高齢化に伴って通所介護のニーズが拡大しています。
しかし一方では以下の問題点もあります。
・同業他社の増加による利用者の奪い合い
・慢性的な人手不足(特に看護師)による採用コストの増加
・人件費の高騰 ※通所介護人件比率67.7%(平成30年)平成25年では64.5%と5年で3.2%の上昇 ※介護労働安定センター調べ
・介護報酬改定の影響(大規模通所介護は減算傾向)
問題点の中でも介護報酬の改定については国の方針になるため、事業者の努力で変えることはできません。別の方法により売り上げを方法として他の介護サービス同様に保険外サービス・混合介護を視野にいれています。
通所介護の保険外サービスの代表例としまして
○お泊りサービス
お泊りデイサービスとは、日中の通所介護(デイサービス)を利用しながら、夜間も利用ができるサービスです。主に小規模の通所介護にて実施されています。
○「福祉Mover」 ※実証中
サービスのポイント
◎乗車場所と降車場所を選択し、人数を指定するだけで簡単に外出希望を送る
ことができる。乗車場所と降車場所は、よく行く場所をあらかじめ登録しておける。
◎「寄り道」できる車両が見つかり、配車された場合は、車両に関する情報と、迎車予定時刻が画面に表示される。
◎この仕組みを他社のデイサービスの送迎車両にも広げ、相乗りに対応できる車両を増やす計画。同サービスは群馬県太田市にて実証実験を行っているが、今後さらに実証地域を増やす考え。
サービス概要
• デイサービスの送迎車両とAI技術を活用し、利用者のデイ非利用日の外出を促進する取組。(※実証中)
• 具体的には、利用者がスマートフォンやコールセンターを通して外出希望を送ると、近隣を走行中のデイサービス車両が「寄り道」し、希望の場所まで送る。
• デイサービスの送迎に大きな支障が出ないよう、「寄り道」に10分以上かかる場合は、「寄り道」しないようAIが判断する。
※令和元年度 厚生労働省老人保健事業推進費等補助金
(老人保健健康増進等事業)『保険外サービス活用促進に関する調査研究事業』より
混合介護について
平成30年4月に厚労省より混合介護について以下の内容の通知がありました。
混合介護のサービスに関しては、通所介護サービスを一旦中断してサービスを提供し、その後に引き続き保険適用内の通所介護サービスを提供してもよいとされています。
提供可のサービス
・通所事業所内での、健康診断、採血、予防接種。
・利用者の希望で外出する際の同行支援。
・通所介護を提供中の利用者に、送迎車を使って有償で行う外出支援は、道路運送法に基づく許可・登録を行っている事業者(介護タクシー)に限り提供してもよいとされています。
・物販やレンタルサービス、買い物などの代行サービス
基本の介護報酬以外に保険外サービス、混合介護の充実により他社との区別化も同時に図られます。

通所介護事業所 開設条件

※人員の要件について
通所介護事業者指定を受けるためには、以下の人員基準を満たす必要があります。                       人員基準
管理者
員数:常勤1名
(兼務は可能ですが職種により資格が必要です。)
資格:管理者はとくに資格要件はありません。
生活相談員
員数:1名以上(サービスを行う時間帯を通じていること。)
資格:社会福祉士、社会福祉主事等
看護職員
員数:1名以上
資格:看護師、准看護師
介護職員
員数:1名以上
(利用者数15人までは1名以上、15人を超えて5名またはその端数を増すごとに1名を加えた数以上)
資格:資格要件なし
(利用者数10人以下の場合には、看護職員または介護職員が1名以上で可能です。)
機能訓練指導員
員数:1名以上
資格:理学療法士、作業療法士、看護師、准看護師等
(機能訓練加算をとらない場合、資格要件はなく、生活相談員、介護職員との兼務も可能です。)
設備について
設備基準
○食堂および機能訓練室 (広さ:利用者1人あたり3㎡以上)
・食事サービスを行う場所と機能訓練を行う場所は兼用可能。
○静養室
・ベッド等を設置し静養できる環境
○相談室
仕切られた専用区画であること。広さの規定なし。
相談者のプライバシーが守られるよう配慮が必要。
行政によって個室でないと認めない場合があります。
○事務室
仕切られた専用区画であること。広さの規定なし。
○便所
手すりなど介助を要する者の使用に適した構造、設備とする。
○厨房
食事サービスを提供する場合に設置します。 別途保健所にて(給食サービス)申請する場合があります。
○浴室、脱衣室
手すりを設置し、利用者の安全に配慮し、介助浴を基本とする。
○設備・備品
電話・ファックス、一般事務機器、鍵付き金庫(扉が透明でないもの)、消毒用品。
感染症予防に必要な設備に配慮する必要があります。