介護×Techを独自に深堀り。施設現場と家族の明日が少しラクになるヒントをお届け
公開日:2026.05.04
最終更新日:2026.05.04

この記事は、何らかのご事情で急に介護が必要になり、介護保険を使いたい方向けに、できる限り噛み砕いてご説明しています。

介護保険料は給料から天引きされていますが、いざ必要になったらどうしたらいいかわからないという方は多いと思います。

  1. 介護保険のことはよく分からない
  2. 病院の看護師さんやソーシャルワーカーさんは忙しくて相談に乗ってくれない
  3. 知り合いにケアマネージャーさんや介護に詳しい人がいない
  4. 遠くに住む両親の様子が心配

こういったお悩みをお持ちの方は、ご一読いただくと、公的介護保険の枠組みと相談先がわかります。

私は介護の専門資格を持っていませんが、実父の退院をきっかけに、介護保険を使い、遠隔介護を6年間続けました。その間、多くの知人・友人に助けられて介護の申請や手続きなどを行いました。

ずいぶん戸惑うことも多かったですが、私の経験がお役に立てば幸いです。

介護保険の枠組み

あらためて、介護保険とは何でしょうか。

介護が必要になった高齢者を社会全体で支える仕組みの公的な社会保険です。

医療保険と同じで、様々な介護サービスを「1~3割の自己負担で利用できる」というものです。

納付期間

公的介護保険の保険料の納付期間は、原則として40歳になった月からです。40歳以上の方で、会社勤務の方はお給料から天引きされていることはご存知だと思います。

では、いつまでこの保険料を払わなくてはいけないのかと言うと、実は亡くなるまでです。終身払わなくてはいけない保険なのです。

要支援または要介護の状態になっても保険料は免除されず、支払わなければいけません。

65歳以上の被保険者は、原則として年金からの天引きで市区町村が徴収されています。

介護サービスの給付

では、これだけ介護保険料を払っていて、どんな給付が受けられるのでしょうか?

これも医療保険と同じで、様々な介護サービスを「1~3割の自己負担で利用できる」というものです。

給付とか支給とかいう言葉を使っていますが、全て介護サービスは、目に見えない「サービス」を提供するという形で行われます。現金の払い戻しはありません。

では具体的にどのような介護サービスが提供されるのかについては、それぞれの市区町村で違っています。

詳しくは地域包括支援センターでお尋ねください。詳細な情報を提供してくれます。

介護保険の加入者と保険者

公的介護保険も保険の一種なので加入者(被保険者)と保険者がいます。

介護保険の場合の加入者は、それぞれの市区町村の在住する40歳以上の方です。では保険者は誰かというと、国ではなく市区町村です。

ですから介護保険の金額も受けることのできるサービスも市区町村単位で決まります。これは保険者が市区町村だからです。

65歳の誕生日の前に介護保険被保険者証が市区町村から送られてきます。

この被保険者証を持っていると、すぐにでも介護サービスを受けられるように錯覚をしてしまいますが実は違います。

介護保険を使うには認定が必須

介護保険というのは使いたいと思ったらすぐに使えるというサービスではありません。介護サービスを受けるためには要介護認定を受ける必要があります。

普段慣れ親しんでいる医療保険と介護保険がどう違うかと考えるとわかりやすいです。

公的医療保険と違うのは

 

  1. 要介護認定を受ける必要がある
  2. 年齢制限がある(基本的には65歳以上)
  3. 介護サービスの選定にケアマネジャーさんの調整が入る

 

という3つです。

1)の要介護認定というところが最大の医療保険との最大の違いです。

医療保険の場合は、保険証を持っていけば、どの医療機関でも医療保険を使うことができます。

しかし介護サービスを受けようと思った場合、まず保険者である市区町村に介護が必要な状態かというのを認定してもらわないと公的な介護サービスは受けられないルールになっています。これは全国どの市区町村でも共通です。

ですので、まず介護保険の対象であることを認定をしてもらうため、介護保険の申請をする必要があります。

保険料は給料から自動的に天引きされているのに、介護サービスを利用する時には、申請をしないといけないわけです。

介護保険の申請から、認定までの流れ及び要介護の介護認定の度合いはどのように決まるのかということについてはこちらの別のブログをご覧ください。

2)の年齢制限という意味では厳密には65歳以下でも介護保険を受けることはできます。
具体的には16の特定疾病が指定されており、この特定疾病で、介護が必要とみなされた場合については65歳以下でも介護保険を使うことができます。
骨折を伴う骨粗鬆症、変形性関節症、閉塞性動脈硬化症等も特定疾病に含まれています。もちろん医師の診断書は必要になりますが65歳以下だから介護保険が使えないということはありません。

3)ケアマネジャーさんの調整これも医療保険との大きな違いです。医療保険の場合は、どこの医者に行こうが基本的には本人の自由です。
自分と相性が合わない、治療方針が違和感がある等の理由があれば、自分でかかりつけ医を変更することができます。

しかし介護保険で受けるサービスは、ケアマネージャーさんとの調整をしてもらわないとサービスを受けられないことが多いです。
これは市区町村によってかなり違うとは思いますが、自分で直接介護施設やデイサービスに電話をして、その場でサービスを受けるということができる地域はほぼないと思います。

介護認定が下りるまでの期間は?

介護保険を使うには、認定が必要で、その認定を取得するためには介護保険の申請をせねばならず、認定が下りてからやっと、介護サービスを受けられるわけです。

介護認定が下りるまでのフローは、こちらで詳しく解説しましたが、最短で1カ月はかかります。

最近はどの自治体でも認定と審査に時間がかかっていますから、1カ月半や2か月というも珍しくありません。

では、介護保険を申請してから認定が下りるまで、介護サービスは使えないのでしょうか?

そんなことはありません。

緊急で介護が必要な人のための措置は、ちゃんと考えられています。

介護認定前に介護サービスは使える

介護保険サービスは、介護認定が下りる前でも、自治体に介護申請をした日に以降であれば利用できます。

自治体に申請すると、暫定的に「介護保険資格者証」が交付されます。

その「介護保険資格者証」を提示してケアマネジャーさんにケアプランを作ってもらえば介護サービスを受けることができます。

ここで問題になるのは費用負担です。

介護認定が下りる前ですから、介護利用者の方の介護度はまだ判りません。

介護保険は、介護度に応じて支給限度額が設定されています。

介護保険の申請をしても、想定よりも低い認定を受けり、最悪自立度が高いとみなされて認定が下りなかったりすることはあり得ます。

その場合は、介護サービスの費用負担が高くなったり、全額自己負担ということになります。

いずれにしても、介護サービスを使うためには、まずは介護保険の申請をして、ケアマネージャーを見つける必要があります。

地域包括支援センターに連絡を

ですのでまず介護保険が必要だと思った場合は、まず地域の地域包括支援センターに連絡を取り、ご自分の状況やご家族の状態について相談してみてください。

地域包括支援センターとは、高齢者の健康面や生活全般に関する相談を受け付ける地域に密着した総合相談窓口です。

介護が必要になるまで、聞いたこともないという方も多いと思います。

が、各市区町村に設置されており、介護保険をはじめとする、介護サービスの相談窓口としての役割を担っています。

「〇〇市 地域包括支援センター」で検索すると連絡先電話番号や住所が出てきます。

介護保険の申請の方法や手続き等についても、親切に詳しく教えてくれます。

介護保険のキャンセルや退会、返金について

そもそも公的介護保険をやめることはできるのか?

40歳以上になったら強制加入で、死ぬまで保険料を払い続けなければいけないなんて、高齢になってもお元気な方は介護保険をやめたいと思われる方もおられるでしょう。

しかし残念なことに介護保険は強制加入です。

高齢化社会における介護負担を社会全体で支えるという理念のもと、介護保険法が定められており、被保険者には保険料の納付義務があります。

医療保険と同じ類のもので、ほぼ税金と考えてよいでしょう。

介護保険を申請しなかった場合、返金はあるのか

例えば「80歳になるまで介護保険を申請しなかった、老人ホームに入居する費用に使いたいから返金してくれ」ということはできるのでしょうか。

これも、介護サービスを社会全体で支えるという理念から、現金による払い戻しはありません。

「給付」とか「支給」という言葉を使っていますが、実際には全てサービスで、現金で戻ってくることはありません。

介護保険を支払わなかったらどうなるか

税金と同様、国民の義務になっているので、滞納すると延滞金が課されます。

また納付にも期限があって、納付期限から2年が経過すると時効により保険料が納められなくなります。

では、時効になって介護保険料が未納になるとどうなるのでしょうか。

いざ介護が必要な時に、保険料の自己負担率が上がります。自己負担率がどれぐらい上がるかというのは未納の期間にもよりますが、1割負担で済むところが3割になったり、ということになってしまいます。

また、介護サービス費が一定額を超すと超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」という有難い制度がありますが、この制度を使うことができなくなります。

民間の介護保険との違い

民間の介護保険と公的介護保険の最大の違いは、この現金による給付があるかないかというところだと思います。

もう1つは強制加入か任意加入かというところです。

また要件を満たしていれば民間の介護保険で、公的な介護保険の対象外のことであっても給付がおりる場合もあるかもしれません。

保険料の払込期間についても、公的な社会保険は要介護状態にあっても保険料は年金から天引きされますが、支払いを免除などの条件がついている保険もあります。

つまり、公的介護保険というのはほぼ税金と同じ国民の義務になっています。
ですから介護が必要な時には、まず公的な介護保険に助けてもらうというのは加入者としては当然で、民間の介護保険は公的な介護保険を補うという意味でかけておくべきものだと思います。

<まとめ:公的介護保険を賢く活用>

日本というのは国民皆保険の国で、介護保険も基本的にはその考え方に基づいて作られています。

ペーパーレス化が進んでいなかったり、正直言って理不尽に思えるところも多々ありましたが、これが現実です。

ですから、長い間介護保険料を納付してきた加入者としては、助けてもらうべき時が来たら、遠慮なく介護保険を申請して良いと思います。

介護保険の申請には、各市区町村の地域包括支援センターが手助けをしてくれます。介護で助けて欲しい時には、まず相談してみましょう。